片陰や街は戒厳令の如

 

「方円」2020年8月号円象集掲載。

炎天下、建物や塀に沿って道の片側に日陰が出来る。道行く人は暑さを避けてその日陰を歩く。これが片蔭、または片かげりという。「戒厳令」とはいささか物騒な表現だが、この句を詠んだのが2020年夏と言えばお分かりいただけるのではないかと思う。そう。例の感染症が猛威を振るっていた2020年。高校野球などありとあらゆる行事が中止になり、街から人が消えた夏。大都会がしんと静まり返っている様子は、本当に戒厳令が出されているような不気味さがあった。そんな中、ビルの日陰だけはくっきりと映っている。それが余計に目立って見える。早くこんな世界が終わって、元に戻って欲しい。そんな思いを詠んだ句。

つい4年前まで、こんな世界が日常だった。趣味の世界で公に集まれず、家に籠りきりの生活。リモートで出来ない仕事だったので、出勤するたびに「戒厳令の街」を見続けた。「いつか終わりが来る」と言うが、この頃は終わりが見えないように思えてならなかった。つい4年前の話。人間、いつ何時、何が起こるかわからない。そうなる前に、人に会える時は積極的に会い、趣味に仕事に顔を突き合わせる幸せを、もう一度噛みしめたいものだ。

 

↓コチラも併せてご覧ください♪↓

コダマヒデキ~音楽と俳句の部屋~

 

俳句を始めませんか?

俳句結社「雲の峰」

 

 

人気ブログランキングでフォロー