彼方まで途切れぬ雲や百花舞ふ
「方円」2006年6月号雑詠掲載。
花を用いた季語に「花曇」と「花の雲」というものがある。前者は桜が咲くころの曇り空のこと。後者は桜の花が一面に咲き連なった様子を雲に見立てたもの。同じような言葉だが、場面が全く違う。しかし、桜の花がメインであることには変わりない。そんな桜の花が、そろそろ散る時期になった。この句はそんな時期に詠んだもの。花曇りではないが、雲が途切れることなく空に浮かんでいる。そして遥か彼方まで連なって続いている。そんな風景の中で、散った桜の花びらは風に舞って、彼方まで連なる雲に色を添えている。そんな華やかな様子を詠んだ句。
両親が亡くなってから、時々「浄土」という言葉を句に入れるようになった。「鷹渡る浄土は遥かその先に」という句を詠んだのは2021年秋。人間が現在住んでいる地球の上の空は繋がっている。もし浄土というものがあるなら、それも遥か彼方の空で繋がっているのだろう。この星に住む者みんなが、同じ環境のもとに生きている。それを考えると、今各地で起こっている紛争や揉め事、様々な問題を、対岸の火事として眺めているだけという訳にも行かないのではないか。自分にできる事はないかもしれないが、そう感じている。
↓コチラも併せてご覧ください♪↓
俳句を始めませんか?