料峭の庭を横切る鳥の影

 

「雲の峰」2023年4月号青葉集掲載。

「料峭」「春寒料峭」はこの時期の手紙の書き出しとしてよく使う言葉でもある。歳時記では「春寒」の傍題として掲載されている。春になって尚寒いというニュアンスで使われ、特に料峭は春風が冷たい様子を指す。寒空に飛ぶ鳥が一羽。その影が庭に大写しになる。それが庭を横切っていく様は、その鳥が何の種類であれ、くっきりと美しく映える。空気が冷え込む時期だからこそ、こういう景色が印象に残る。そんな一コマを切り取って詠んだ句。

「春寒」「寒明」「余寒」「冴返る」と、この時期の寒さを表す季語は、思いつくだけでもこれだけある。句作の際、どれを使うのが効果的か、いつも迷う。特に「料峭」は使い方が難しい。しかし好きな季題でもある。今回紹介した句は1年前に詠んだ句だが、実はあまり季語の意味を深く考えていなかった。その時の感覚によって使い分けていたが、よく歳時記を読んでみると、それぞれニュアンスが違う事がよくわかる。例えば今日は気温があまり上がらず、時折冷たい雨が降り、小雪がちらほら舞い、風も相当強かった。しかし2月も終わろうとしている。この時期のこの気候に対しては、「冴返る」「凍返る」が相応しいか。しかし、情景によっては「余寒」を使った方がいい場合もある。厳然と使い分ける事は私にはできない。まずは今現在の周囲の風景、気候をよく観察する事から始めたい。

 

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