白粉花化粧好まぬ妣なりき
「方円」2022年1月号円象集掲載。
白粉花は秋の季語。夕方開花し、翌朝しぼむ、実に可憐な花。黒く固い種子の中にある白い粉状の胚乳が白粉のようで、子どもたちがよく遊んだ事からこの名が付けられた。この句は一昨年9月に亡くなった母の一周忌を終えて詠んだ。白粉花は私にとっては難しい季題で、あまりいい句は出来なかったが、この時この花を見て、そういえば亡き母は化粧をあまりしなかったなと思い出して、何となく詠んだ句がいい句になった。母に感謝の句。
3回忌法要も終えて、漸く納骨の日取りが決まった。これでやっとひと段落といったところか。今回この句を取り上げたのはそれだけではなく、この「妣」という漢字。当時月1回参加していた方円関西句会で、私は「亡母」という漢字を当てた句を発表した。その時に教えてもらったのがこの字。恥ずかしながら知らなかった。こんな字があるのかと、目から鱗だった。以来この漢字を好んで使っている。母が亡くなった事によって得た知識と言えば大げさになるか。人間、こうして覚えていくんだと、改めて感じた一字と言えよう。
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