討論のあとの静けさ轡虫

 

「方円」2012年11月号清象集掲載。

轡虫は秋の虫の中では比較的早い時期から鳴く虫だという。「虫の声」の歌詞にある通り、「ガチャガチャ」と大きな鳴き声を発する。この声が、馬が轡を鳴らすような音なので、この名が付けられた。この句を詠んだ場所は、所属する吹奏楽団の練習場として使わせて頂いている住民センター。周囲は田園風景で、住宅街はJRの線路を隔てて少し離れたところにある。まことにのどかな風景が広がる場所。例の感染症が蔓延する前は、夜6時か7時ごろから合奏を始めて、9時ごろに終わっていたと記憶している。私はこの当時から運営側のメンバーとして名を連ねており、練習後に会議をする事がよくあった。また、同じ場所で、当時水曜日の夜8時ごろから、京田辺音楽連盟の役員会議が行われていた。私は当時から副会長だったので、この会議にも出席していた。そうした会議の後、夜遅くなって施設を出ると、周りに家がないため、静まり返っている。その中で聞こえてきたのが轡虫の声。実はこの時初めて鳴き声を聞いた。しんと静まり返った中で、轡虫だけが自分の存在をアピールしている。そんな情景を詠んだ句。

自分の思っていることを積極的に言えない事が多々ある。いざ口に出そうとしても、要点をまとめ切れないまま喋ってしまい、要領の得ない話になってしまう。それが怖くて口に出せず、思ったことを胸にしまってしまう。子どもの頃、特にその傾向が強かったように思う。今はそこまでではないが、それでも人にものを伝えるのが下手なままだ。それでも場数を踏んで、そうした苦手は克服せねば、自分が苦しむだけ。この轡虫のように、「自分はここにいます」と、はっきり言えるようになりたいものだ。

 

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