露草の露奪はれてなほ青し
「方円」2003年10月号雑詠掲載。
露草の開花時期は6月から9月。ちょうどこの時期に咲いているが、季語としては秋の季語とされている。朝咲いた花が夕方にはしぼむ事から、この名が付けられたと言われている。朝露に濡れながら、可憐な青い花を咲かせるのを、田んぼの畦道などでよく見かける。私の好きな季題のひとつでもある。暑い盛りの8月にも咲くため、朝露はすぐに蒸発してしまう。それでもこの花は咲き続け、鮮やかな青は褪せる事がない。ちょうど20年前、30代前半に詠んだ句。その時は鮮やかな青に感銘を受けて詠んだのだろう。しかし、今見返せば、若い時の私は、自分もかくありたいと、心の奥底で感じたのではないか。シンプルな句だが、こんな風に深読みさせてくれるような句。
職場などで、「自分はこう考えたのでこのような行動を取りました」と、自信を持って言えない時が多々ある。自分に自信が持てなく、今の行動が本当に正しいのかという事を検証する事もなく、ただ目の前で起こった出来事に対して、何も考えずに対処する。そんな自分がいる。13歳から始めた吹奏楽、トロンボーン。30代前半から本格的に始めた俳句。どちらの趣味も長続きしている。これが好きだから続けられていると、本当に自信をもって言えるのか。ただ何も考えず続けているだけではないのか。そんな風に感じる事もしばしばある。発達障害の診断を受けてから、特にそんな自分を思い悩むようになった。そんな時に見返してみた今回の句。こんな時こそ、自分をしっかり持ち続ける。そう思い直して、生き続けなければならない。大げさかもしれないが、そう感じた。
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