秋立つや余命を少し延ばすかに
「方円」2020年10月号円象集掲載。
8月8日は二十四節季の一つ、立秋。まだまだ暑い日が続くが、この日をもって暦の上では秋とする。なので、地蔵盆や終戦記念日など、8月も残暑の頃のイベントごとは秋の季語とされる。この前年、亡き母のがん転移が発覚。ステージ4宣告を受けた。まだこの頃は自分の足で動いていたが、買い物など重い荷物を運ぶことは難しくなり、私が代わりに行くようになっていた。そしてこの年の12月、余命を告げられていた事もあり、当時大阪の吹田勤務だった前職を退職し、何があってもいいように、自宅から車で通える今の職場に転職した。そこに至っても、母がこの世からいなくなるという事は、現実として考えられなかった。そんな中で迎えた立秋。まだこの頃は元気だったのに加えて、「あっけらかんと生きる」という本人の言もあり、こんな句が生まれた。
この翌年の7月、緩和ケアに入院。しかし、入院先で緩和ケアの事をスマホで徹底的に調べた母は、「私の理想と違う」と8月末に退院して、9月に自宅で看取った。最期まで勉強家で、弱みを見せない母だったが、亡くなるときはあっさり亡くなった。人の一生というものはわからない。だからこそ、今出来る事を精一杯やり遂げたい。趣味の俳句も然り。結社が終わっても、今年から違う結社にお世話になり、日々勉強している。もう一つの趣味、吹奏楽でも、この年齢になってまだ吹奏楽コンクールに出場して、楽団を通して己の上達度を計っている。これからも積極的に生きたい。それだけは心掛けねば。
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