消息の知れぬ友あり半夏生

 

「方円」2022年9月号円象集掲載。

7月2日は二十四節季のひとつ、半夏生。サトイモ科の半夏(烏柄杓)が生じる事からこう呼ばれている。かつては「半夏半作」と言われ、この日までに田植えを終わらせるものとされた。また、この日は様々な禁忌があり、物忌みをする風習があったとされる。「消息の知れぬ友」とは穏やかではない話だが、この日、とある集会で、イベントなどの裏方をやって下さった方にもう一度お願いしようとしたら、職が変わった上に携帯を変えたのか、連絡が付かず、誰も連絡先を知らなかった。その時、「この人は音信不通だ」という、随分物騒な言われようをしたというのが正確な話。ちょうど7月最初の土曜日だったので、この状況には半夏生という季語が合うかもと、多少大げさなシチュエーションにして詠んだ句。

今私は独り暮らし。幸いにも、ご近所さんには顔も知られているし、会えば挨拶もする。趣味の世界では句会のメンバーや吹奏楽団、それを通して知り合った人々など、多くの人と繋がっている。それでも、亡母がぽつりと言った「人間、最期は独りや」という言葉が、今でも引っかかっている。確かに今は家族がいない。親交のある親類縁者もほとんど年上。自分はこれからどうなるのかと、たまらなく不安になる事がある。この句のシチュエーションが、もしかしたら現実になるかもしれない。今のうちに、現在繋がっている人たちと、更に強固に繋がるように働きかけなければ。最近そんな風に思う。

 

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