神木に鳥数多をり薄暑光

 

「方円」2018年7月号円象集掲載。

「薄暑」とは初夏の頃、やや汗ばむほどの暑さの事を指し、夏の季語としては大正時代に定着したとされる。今の時期、本格的な暑さとまでは行かないが、徐々に夏らしい気候になってきたという実感が沸くようになる。そんな晴れた暑い日、とある神社に生えている高い杉の木。これは神木のようで、幹にしめ縄が巻いてある。そのはるか上に鳥がたくさん留まっている。高いところなので、太陽の光は容赦なくその鳥にも当たる。鳥たちはたまたまその神社の目印になる大きな木が目に入って、たまたま集まっただけなのかもしれないが、暑い日に神木に集う鳥というシチュエーションが印象的だと感じて詠んだ句。

今目の前に見えている物しか目に入らなくなり、その周囲にあるものの方が優先順位が高いのにもかかわらず、目に入ったものを集中的に処理してしまう。そういう行動をどうしても取ってしまう。周りをよく見ろ。視野を広く持てとよく言われるが、行動は変わらない。縁起でもない話だが、これが戦場だったら、一撃でやられているだろう。動物の世界も同じ。常に狙われる危険性を感じて、方々を見なければ食われる。鳥はさらに上空から物事を広く俯瞰できる。そんな視野と視線が欲しい。心がけ、考え方を変えれば、それが出来るのか。いずれにしても、普段からパニクらず、少し落ち着いて行動したいものだ。

 

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