鷺の巣の高みに構へ風任せ

 

「方円」2012年6月号清象集掲載。

「鳥の巣」が春の季語。私が持っている歳時記には、傍題として鷲の巣、鷹の巣、鳶の巣、鶴の巣、雲雀の巣が載っているが、鷺の巣はない。果たしてこれが季語なのかどうか。鷺もこの時期に自分の巣で雛を育てるであろうという事で、ご容赦願いたい。この句は何も予定がない休日、地元京田辺市を流れる木津川沿いのサイクリングロードを散歩した時のもの。竹藪の上の高いところで、何やら鳴き声が聞こえる。見上げると大きな鳥の巣。背格好から見て、どうも鷺らしい。あんな高いところ、しかもよく撓る竹の上に巣を作っている。風が吹いたら大きく揺れる。実際この日は風が強かった。鷺の巣は不安定に揺れ続けるが、巣にいる鷺の雛はびくともしない。青鷺や白鷺は、夏場の田畑でじっと動かずにいる姿をよく目にする。あの落ち着きは、もしかしたら高い巣にいる時から培われたのだろうか。そんな事を想像しながら詠んだ句。

私は、仕事でもプライベートでも、何か普段と違うトラブルや予期せぬ出来事が起こると、とたんにパニックになってしまい、どうしていいかわからず、ただおろおろする。冷静な判断が出来なくなる。実は私はADHDと診断されており、それは特有の症状なのかもしれない。こうした事は克服できるのか。気持ちの持ちようで変わって来るのか。その辺は専門家に聞いてみないと分からない。しかし、こういう出来事があったと記憶する事は出来る。その積み重ねで、いずれは何があっても落ち着いていられるようにしたい。遠い目標かも知れないが。

 

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