黙食てふならひ蛙の鳴き止みて
「方円」2022年6月号円象集掲載。
お読み頂ければお分かりの通り、例の感染症の事を詠んでいる。2020年当初は随分不自由な生活を強いられたように思えたが、2年も経つと慣れたもの。すっかり「黙食」という言葉も定着した。とある水辺を散歩していたお昼過ぎ、それまで盛んに鳴いていた蛙の声がふいに一斉に止んだ。もしかしたら、蛙もお昼時、昨今の食事のマナーを守っているのか。そんな事を想像しながら詠んだ句。
そろそろそうした制約も緩もうかという状況。町も観光地も人が戻ってきた。しかし、完全に元通りの生活という訳には行かないだろう。むしろ「普通の生活」が現在の生活環境に寄っていくのかもしれない。そうして人は困難を克服し、今まで生を繫いできた。今回の3年に及ぶ騒動は、もしかしたら人間の生活環境を変化させるべく、自然が与えた試練なのかもしれない。それを淡々と乗り越えていく人間はすごいと、つくづく感心する。
4月、新しい生活が始まった方もいらっしゃるだろう。新しい日常が実り多きものでありますように。
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