裏道へ人を誘ふ緋木瓜かな
「方円」2022年5月号円象集掲載。
木瓜の花は春の季語。バラ科の植物だが、同じバラ科の桜や桃とはまた違った、濃い目の鮮やかな赤い花を咲かせる。庭に植えられることが多く、背は低いが、花の色が目立つのですぐわかる。ある日自宅から最寄り駅まで歩いていると、普段通らない脇道に濃い赤色。見ると、スターバックスの駐車場の裏手に木瓜の花が咲いていた。こんなところに咲いているとは知らなかった。その道は駅に行くときは通らない道。しかし、木瓜の花見たさにその道へ進んだ。木瓜の花が、自分の行動範囲を少しだけ広めてくれた。そんな思いを詠んだ句。
住み慣れた地域でも、自分の居住範囲からかけ離れたところは、特段用事でもない限り行かない人が大多数だろう。子どもの頃は、「探検」と称して町内を自転車で走り回ったりもしたが、それでも行く範囲は限られている。普段は駅まで歩くか、車で移動するかどちらかなので、大人にるにつれて近所の行動範囲は逆に狭くなってしまった。思いつきで歩いてみると、「ここも空き家になっていた」「ここは引っ越した」など、新しい発見も多い。ご近所とはいえ、まだまだ知らない所ばかり。たまには外に出歩いてみるのもいいかもしれない。
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