十月の空で繋がる国境

 

今日から10月が始まった。2022年の10月は土曜日スタート。毎月第1土曜日は、私が所属する俳句結社「方円」の関西句会が、隣町の枚方市で行われる。今回の席題は「十月」。最も身近なだけに、今まで積極的に使ってこなかった季題だ。他の方々も同じのようで、歳時記を片手に悩みながら出句していた。今回の句は、その時に出した句とは違い、帰宅後に改めて詠んだ。

句会の会場までは車で行く。途中で京都と大阪の府境を越える事になる。その際、行きは「大阪府に入りました」とカーナビが喋り、帰りは「京都府に入りました」と喋る。地図上ではそこに線が引いてあったりするのだが、実際の現場にはそんなものはない。何の境界もなく、ただ隙間なく密集した空気があるだけ。境界線は、人間が便宜上作っただけだという事がよくわかる。そんな帰り道、少し寄り道して遅くなったので、国道沿いの回転ずしで夕食を食べた。店から出ると、秋らしく広い暮れの空。この店は、摂津・山城の国境近い場所に建っているが、空はあくまで一つ。やはり世界は全て繋がっているんだと実感して詠んだ句。

今世界では、土地や領地を巡る諍い、争いが絶えない。人間を始め、生きとし生けるものみんな、住む場所というものが必ず要る。最低限その場所は確保しなければならない。そういう本能が働くのは致し方ない事。しかし、これが地域・国レベルになって来ると、もはや本能とは言い難い部分で争っている。あえて綺麗事を言わせて貰えるとすれば、線引きはあくまで便宜上。この世は全て繋がっているという認識を、頭のほんの片隅にだけでも持って貰いたいものだ。余裕はないかもしれないが。

 

↓過去の作品はコチラ↓

コダマヒデキ~音楽と俳句の部屋~