ゑのこ草気ままな向きに首傾ぐ
「方円」2021年11月号円象集掲載。
えのこ草。またはえのころ草。その穂の形から猫じゃらしとも呼ばれ、秋の季語とされている。空き地や河原、田畑の畦道などで群生している姿をよく見る。比較的細くて長い茎の先に穂をつけているので、真直ぐにピシッと伸びている訳ではなく、前後左右によく倒れる。その姿は、いかにも首をかしげているよう。それも全て一方向にではなく、色々な方向に首をかしげている。他人がどこへ向こうと、私は私。そんな風に意志を持って倒れているようにも見えて詠んだ句。
勿論そんなはずはなく、たまたま風にあおられて倒れているだけなのだが、地球には重力というものがあり、自分の意志ではなくそれに従って今の方向を向いている。そう考えるのが正しいのだろう。一方、人間は自らの意思で考え、行動する生き物。しかし、無意識に考えなしに動いてしまう、重力的な要素が人間にもある。それは「習慣」というもの。一度行動パターンを覚えてしまえば、習慣によって脊髄反射的に人は動く。それがいい習慣だったら申し分ないが、誤ったやり方が習慣づいてしまえば、これは厄介なことになる。職場なら非安全行動で、いずれ事故を起こすパターンだ。私は今、自分の仕事における悪しき習慣を矯正しようとしているが、これが地球の重力並みに染み付いてしまって難儀している。人間本来の「考える力」を活用して、早くいい習慣を身に着けたいものだ。
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