通信で繫ぐ縁(えにし)や半夏雨

 

昨日7月3日は二十四節季のひとつ、半夏生。サトイモ科の半夏(烏柄杓の漢名)が生じる事からこの名が付いたと言われている。昔は「半夏半作」と言われ、この日までに田植えを終えるものとされた。この日は様々な禁忌があり、物忌みをする風習もあったという。この日に降る雨を「半夏雨」と呼び、降れば大雨が続くとされている。昨日はいいお天気だったが、半夏生から一日経った今日は、台風上陸の影響もあり、やや強めの雨。正確には「半夏雨」とは言わないのだが、そういう季節という事で、この季語を選んだ。そんな今日の日。世間では通信会社のネットワーク障害が長引き、様々な所で影響が続いている。関係者の皆さんのご苦労は如何ばかりか。外は生憎の雨。奇しくも物忌みのイメージがある半夏生に、この状況が合っている。そう感じて、不謹慎ながら詠んだ句。

今の世の中、通信ネットワークは生活に欠かせないものになっている。さらに、例の感染症の影響により、仕事のやり方もその方向にシフトするようになり、ますますネット環境の安定が求められるようになった。かつて携帯電話が普及していない時代は、連絡手段は主に手紙か電話。駅には伝言板があり、それに書き込んで待ち合わせをしたりしていた。今では信じられない世界。あの時代には、今更戻れない。しかし、自らの足で歩いて、人に出会ってという営みは、人間に動く手段が残されている限り消えない。誠に不謹慎ではあるが、そういう繋がりというものにもスポットを当てられる世の中であってほしい。こう考えるのは、自分が古い人間である証拠なのかもしれない。

 

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コダマヒデキ~音楽と俳句の部屋~