新しき道に竹皮落としけり
「方円」2021年7月号円象集掲載。
春に顔を出した筍は、初夏になると下の方から皮を脱ぎ、青々とした竹の節を見せる。その様を表した「竹皮を脱ぐ」「竹の皮」は夏の季語とされている。まだまだ外を出歩くのも神経を使っていた1年前の5月、近所を散歩していると、今まで知らなかった道に辿り着く。舗装が新しいので、最近できた道か。周りは竹藪で、若竹が皮を脱ぎ始める季節。早速新しい舗装の上に、脱ぎ捨てられた竹の皮が散乱する。たったそれだけの風景だが、新しい道に新しい生命。これからこの辺りも、脈々と受け継がれる生命とともに変わっていくのかもしれない。そんな事を思いながら詠んだ句。
ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、今日は竹について蘊蓄。
竹は春先になると前年から蓄えた養分を地下の筍に送るため、葉まで養分が回らず、黄色い枯葉のような色になる。これを「竹の秋」と呼び、春の季語とされる。逆に夏になると筍が成長して竹になり、秋になると親竹とともに青々とした葉を茂らせる。これを「竹の春」と呼び、秋の季語とされる。私もよく誤用するのだが、そういう視点で竹藪を眺めてみると面白い。
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