葱坊主山に星神来るといふ
(妙見山)
連休初日は大雨。翌4月30日は打って変わって快晴。私は以前から、亡父母が訪れた場所を、時間があれば自らの足で再訪するようにしていた。ここ最近諸事情により中断していたが、久しぶりに出かける事にした。そこで選んだのが大阪・豊能町川尻地区の石仏巡り。一度行こうとしたが、下調べ不足で素通りしてしまった事があり、今回念願叶う形となった。ここは北極星信仰の山、妙見山の麓。長閑な田園風景が広がる山あいの郷に、磨崖仏や石造物が点在する。周りの田畑は田植えの準備をしたりして活気づいている。そんな中で見かけた葱畑。この時期は葱坊主が咲き、春の句としてもよく詠まれる。頭を上に向けて、集団でどこかに向かって直立不動しているようにも見えた。もしかしたら、妙見山の北極星を待っているのか。ピンと張った背筋に、「どうかこの地をお守りください」と祈っているように見えて、その健気さを詠んだ句。
葱坊主が詠みたくて、何とか捻り出した感が否めない句ではある。句の横に小文字で注釈を入れるのはよくある事。私はなるべくそれに頼りたくない派ではある。しかし、この句はどうとでも取れるので、注釈の力を借りる事にした。とりあえず皆さんにお見せしたという段階で恐縮。別に葱坊主でなくても成立するこの句。いわゆる「季が動く」と言うべきか。もう少し違った視点で葱坊主を詠むか、信仰にスポットライトを当てて、全く違う句を考えるか。どちらかだろう。いずれにしても、情景と感情がすぐわかるものを目指したい。
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