一族の此処で絶えたり梅真白
「方円」2016年5月号円象集掲載。はっきりとは覚えていないが、恐らく大阪城梅林を訪れた際の一コマ。
当時大阪勤務だった私にとって、京橋や大阪城公園は日常の通過ポイント。大阪環状線から見える大阪城天守閣を、通勤途中の車窓からぼんやりと眺める。そんな場所だった。その時代からのかかりつけの歯医者が福島駅近辺にあり、土曜日に歯の治療に行った帰りに寄ったか、あるいは人間ドックの帰りに寄ったか覚えていないが、梅が見頃の大阪城をふと訪れた。御存じの方も多いかと思うが、大阪城には「秀頼・淀殿終焉の地」が残っており、ちゃんと石碑も立っている。ここで豊臣家が滅亡した。一族の血が絶えてしまったという場所。その場所を目の前に、梅の花は我が色を誇って命を繋げ続ける。一方で血が絶えてしまう一族がいる。白い梅がまさに「血の明暗」と感じて詠んだ句。
最近、にわかに北の辺りがきな臭い。一度争いごとが起きると、必ず被害に遭うのは一般の人々だ。哀しいことに、色々な場所で命のやり取りが行われる。戦況が激しくなると、一家全滅という事も出てくるのだろう。人が自然に亡くなり、その血を継ぐことが出来なくなり、仕方なしに絶えるという類のものなら致し方ないが、生き永らえるはずだった命がこんな形で終わり、人間の力により一つの血が絶えるというのは、防ごうと思えば防げる。こんな事しか言えないが、命を粗末に扱わないでほしいと、切に思う。
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