そこここに石仏抱きて山眠る

 

「方円」2020年2月号円象集掲載。

父が亡くなった2018年10月から、時間があれば父が歩いたハイキングコースや寺社などを訪れたりしていた。この日訪れたのは自宅から気軽に行ける大阪・交野市の交野山(こうのさん)。ここは登山道がいくつかあり、そのうちの一つに「石仏の道」というコースがある。その名の通り、道の至る所に大小さまざまな石仏がある。中には雑草に隠れて見つける事が困難なものもある。季節は冬。山の様子はまさに「山眠る」という言葉がぴったりで、荒涼として静まり返っている。そんな中、石仏は総じて柔和な顔をして、静まり返った山とともに眠っているようにも見える。何もない冬山に安心感を与えるような表情にホッとした思いで詠んだ句。

ここ最近、個人的にも社会的にも色々あり、なかなかゆっくりと外を出歩いて羽を伸ばす事が出来なくなってしまった。この1年、最も遠くへ出かけた場所と言えば、お盆に墓参りに行った四天王寺ぐらいなもの。電車に乗ったのも年に2~3回。歩くと言えば近所を一回りといった具合だ。なので、こういうホッとするような風景にもなかなか出会えていない。早く世の中も個人的にも落ち着いて、今度は両親が歩いた道を辿ってみたいものだ。

 

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