虫鳴くや修行大師立ち止まる

 

「方円」2005年12月号雑詠(現・明象集)掲載。

俳句では「虫」と言えば鈴虫や松虫など秋に鳴く虫の事を指す。日本各地にある、「修行大師」と呼ばれる像。弘法大師空海が日本各地を行脚する姿を現した像。私の出身校は当時のお膝元。東寺にも修行大師像があり、木々に囲まれている。都会の中でも静かな場所にあり、虫の声がよく聞こえる。そんな景色に思いをはせて詠んだ句。

かつて、飛び込み営業で町中を歩く仕事をしていた。京都市内や奈良市内、その周辺を歩き回った。なかなか結果が出せず、苦しむ中で、ふと休憩のために立ち寄ったのが東寺。高校以来、あまり寄り付かなかったが、その時は「どうかお助け下さい」と祈り、縋りつく思いだった。普段あまり真剣にお祈りしたりという事はないのだが、やはり人間、どうしようもない状態になると、神仏に縋り付いてしまうのか。そんな風に改めて感じた。それは恥ずかしい事でも何でもない。どんな状況であれ、祈るという思いは大切にしたいものだ。

 

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