思ひ出も痛みも流し秋出水
「方円」2012年10月号清象集掲載。
秋の台風や豪雨、長雨は水害を起こしやすい。これを田畑に害を及ぼす「秋出水」と呼んで、秋の季語としている。特に最近は地球温暖化が原因とされる気候変動により、雨ともなればすさまじい豪雨になる事もしばしば。人的被害も甚大なものとなる。被害に遭うと、自分の財産も思い出も水に流され、後には何も残らない。心に深い傷を負いながらも、しかし我が身は生かされた。暫くすれば、あの時生かされたという事は、我が身が犠牲になるという痛みも一緒に水に流されたという事なのかもしれないと思えるようになるのかもしれない。そんな前向きになろうとする人間の気持ちを詠んだ句。
お盆休みに入ってから、まさにそんな災害が起きるかもしれないというレベルの雨が続いている。我が家近辺は、お陰様でそこまでの被害は今の所見当たらないが、こう雨が続くと、「せっかくの休みなのに」と、気分も憂鬱になりがちになる人も多いだろう。しかし、このご時世、気軽な外出が憚られる。そう考えると、「この休みの間に、体を十分休められる」という、前向きな気持ちも生まれてくるかもしれない。例の感染症の勢いは止まるところを知らないが、そこで気持ちが後ろ向きになるか前向きになるか。感染の勢いそのものがそれでどうにかなる訳ではないが、少なくとも心の健康は保てるだろう。
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