はたた神母は子の眼を見て叱る

 

「はたた神」とは雷の事。鬼の姿をした雷神が激しく太鼓を打ち鳴らす(はたたく)という想像をもとに作られた言葉で、その名の通り激しい雷を指す。昨日の仕事帰りも不安定な天気。昼までは晴れていたが、急に雷が鳴り始めた。近くに落ちはしなかったが、腹に響くような音を立てていた。そんな中訪れたとあるディスカウントストア。母親と幼い息子、娘らしい3人連れが買い物を終えて車に乗ろうとしていた。母親が先に乗り込み、子ども二人は店の出口から出ようとしていたが、前を車が行き交う。母親は「ちゃんと手を繫いで来なさい」と子を諭して呼んだ。その様子をしげしげと見つめていた訳ではないが、その母親はきちんと子どもの眼を見て叱っているように見えた。当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、雷のように理不尽に怒ることなく叱る様子に、母の子に対する愛情を感じて詠んだ句。

我が子を自分の思い通りにするべく矯正して、従わなかったら理不尽に怒鳴り散らす。結果子どもは親のご機嫌を取るようになり、他の大人の言う事を一切聞かず、乱暴な性格になってしまう。そんな話を聞いたりする。勿論全ての親がそんな事はしないだろう。一部にそういう親がいる事も確か。我が子可愛さに、愛情があらぬ方向へ向かうのか、それともこの子には社会でまともに育ってほしいと、きちんとモラルや善悪を教え伝える方向へ向かうのか。己が育った環境とは関係なく、全ての親が後者を選んでほしいと願うばかりだ。

 

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コダマヒデキ~音楽と俳句の部屋~