腕失くす金剛像や青葉闇
「方円」2014年7月号清象集掲載。
お寺の山門に阿吽一対で立ち、睨みを利かせている金剛力士像。俗に仁王像とも呼ばれているこの像は、寺院内に仏敵が侵入するのを防ぐ守護神としての役割を持っている。歴史あるお寺なら、山門もそこに建つ仁王像も相当歴史あるもの。中には片腕がすっぽり抜けてしまっている像もある。青葉の季節、気が鬱蒼と茂るとある寺で、そんな光景に出会った。しかし、そんな姿でも守護神は守護神。何があろうと睨みを利かせて、己の仕事を全うしている。そんな姿に敬意を表して詠んだ句。
あまり関係ない話だが、昨日5月24日は、「原始、女性は太陽だった」という言葉で有名な社会活動家平塚らいてうの忌日。「らいてう忌」は夏の季語とされている。せっかくなので一句作ろうと思ったが、非常に難しい季題なので断念した。この平塚らいてうは、女性として差別や不条理を経験したが、最後まで己を貫いたというイメージがある。世間では、性別、職業、出身で差別し、マウントを取って来るような人がちらほらいるようだが、私は私。どんな仕事であれ何であれ、誇りを持って前を見なければいけない。実は私、最近自分に自信が持てなくなって、すぐに「俺なんて」と下を向いてしまう傾向がある。そんな時に見つけたこの句。至極単純かもしれないが、この金剛力士像を思い出すと、凹んでいる場合ではないと思い返す。「これが今の自分なんだ」と、自信を持って言えるようにしたい。
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