静かなるナイターゲーム花冷ゆる
2021年4月6日、プロ野球伝統の阪神巨人戦、甲子園球場での初戦。このご時世という事もあり、観客上限1万人予定だったが、今回はさらに制限。客入りは8,606人と発表された。そんな中での伝統の一戦。折しも冷たい雨。いつもならアルプススタンドのボルテージは最高潮で、地鳴りのような応援が響き渡るところだが、阪神の応援にはいつもの活気はなく、巨人の攻撃の際は静まり返っていた。昨年加入したサンズ選手などは、甲子園の生の熱狂をまだ経験していないのではないか。去年もそうだったが、テレビで見ていると、明らかに例年と違う静けさが漂っている。そんな景色を見ていて、ふと思い浮かんだ季語が「花冷え」だった。この句をひとつの記録として残しておきたい。そんな思いで詠んだ句。
更に異様だったのは、巨人の主力選手が感染離脱した中での試合だったという事。まさに満身創痍での興行といったところだった。それでも選手、スタッフの皆さんは、この環境で仕事ができる有難みを噛みしめるように、持ち場で奮闘していた。「それがプロではないか」というご意見はごもっともだが、当事者は心中穏やかではないだろう。「なんでこんな目に」と思っている人もいれば、「貴重な経験が出来た」と、あくまで前向きの人もいるだろう。7回降雨コールドで試合は終わったが、最後まで異様な雰囲気の中で終わったこの試合を、関係者はどう感じ、どう総括するのか。今後どうなるのか。悩ましいところだろう。もしかしたら、かつてのような大騒ぎはもうできないかもしれない。しかし、いつかまたあの賑わいを取り戻してもらいたい。そう祈るばかりだ。
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