風車風の訪ふ向き過ぎる向き
「方円」2020年5月号円象集掲載。
畑によく風車が刺さっている。モグラ除けのためのもの。風車の回る音にモグラが警戒して近寄らないようにする。ペットボトルや空き缶で作られた簡易なものから、市販のオシャレなものまで、形は千差万別。そんな色々な形の風車が、色々な方向へ向いている。今まさに風が吹いている方向へ向いているものもあれば、風が過ぎた方向へ向き、自分の受けた風に別れを告げるように立っているものもある。それぞれがそれぞれ、受けた風を懐かしんでいるようにも思えて詠んだ句。
こうした風車も畑に無造作に刺さっていて、飾りとして扱っているようにも見えるが、畑にとっては深刻な問題。畑じゅうをモグラが走り回ると、作物がダメになる。また、モグラがミミズを食べる事により、肥沃な土地が痩せてくる。結果作物の育ちが悪くなる。なのでこれは立派に役立っていると言えそうだ。巷にあふれる道具も、たいていは何かの役に立っている。効果のほどが疑問なグッズでも、設置した人にとっては「役立てたい」という気持ちがこもっている。そう考えると、世の中に無駄なものはないと言えるだろう。果たして自分は社会にとって必要な人間なのかどうか、悩んでいる人が増えている昨今。「何か自分に出来る事があるはず」と、前向きに考えられる人が少しでも増える事を祈る。
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