境目のなき湖霞山霞
「方円」2003年4月号雑詠(現・明象集)掲載。
30代前半に詠んだ句。場所は恐らく琵琶湖の北岸か。春になると、遠くの景色が霞んで見える。海岸から沖を眺めたり、山の頂上から遠くを眺めたりするとそれが幻想的に見える。岸の高台から遠くを見ると、やはり一面霞んで見える。霞は湖にもかかり、岸の山にもかかる。辺り一面霞で、山も湖も分け隔てなくかかる。そんな様子を「境目のなき」と表現してみた。
今この句を見ると、非常に感性が若い。何でも見てやろう。何でもチャレンジしてやろうという意欲というか野心というか、そんなものを感じる。そんな姿勢がいかにもわざとらしい句を作ってしまう事があるが、ハマると思いもよらない表現が生まれる時がある。この句は今の私では思いつかない表現だ。長年俳句をやって、諸先輩方に色々教えていただいて、曲がりなりにも少しずつ自分の型のようなものが確立してきたが、その分どうしても守りに入ってしまう事が多い。たまには大胆に、攻めの姿勢で言葉を紡ぎだす事が、マンネリ脱却の近道かもしれない。
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