地を這ひて生きてゆかんと犬ふぐり
土曜日、何も予定がない午後。いいお天気なので、自宅から少し離れた木津川沿いの堤防を歩いた。そろそろ春の花や木の芽、鳥が見られる気候。しかし風が強い。河川敷の竹藪は大きくしなり、歩いている人はうっかりすると足元をすくわれそうな風だった。そんな中、土手にぽつぽつ咲いていた犬ふぐり。春告草とも呼ばれるこの小さい花。一般的によく見られるほとんどがヨーロッパ原産のオオイヌノフグリで、在来種の犬ふぐりはほとんどないそうだ。タンポポも在来種が少なくなったと聞くが、やはり生命力が強いという事だろう。地面近くにくっつくように咲くのが、この花の特徴。強風をものともせず、しっかり根を張って咲いている。何があっても地面を這いつくばって生き抜いてやるという気概を感じて詠んだ句。
緊急事態宣言などの影響で、散歩をするご近所さんや、サイクリングを楽しむ人が増えた。初めて例の病気の感染者が確認されてから一年が過ぎ、こうした生活に慣れて来た人が多いようだ。限られた空間の中で楽しみ、制限が多い中で必死に生きる。しかしそうした営みは、大自然に生きて今日まで残った草木禽獣の方が先輩で、代々生命を精一杯燃やして、子々孫々にその生き方を受け継いでゆく。今が特別ではないと知り、後悔のないよう、決然と生き続けるよう、決意を新たにしたい。
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