手袋脱ぎ働く五指の現れり

 

方円ネット句会、12月の兼題「手袋」に基づいて詠んだ句。

今日は本来新作をご紹介する日だが、ついこの間ネット句会の結果が出たので、その中から1句ご紹介したい。

私が普段あまり手袋を使わない事もあり、この季題は簡単そうでなかなか詠めない。歳時記で例句をみていると、手袋は5本の指を包むものというニュアンスで詠んでいるものが多かった。そんな目線で見てみると、普段仕事で重いものを運ぶため、ゴム手袋や軍手を使う事が多く、手袋を脱ぐと、何となく仕事疲れの手が現れるというイメージが浮かんできた。それを素直に詠んだところ、特選1、並選1を頂いた。

今年は例の感染症の影響で、働きたくてもまともに働けなかった人も多かったことだろう。この句のように働く手が手袋から現れる人ばかりではなく、石川啄木の有名な歌のように、生活苦が続き、じっと手を見る人もいただろう。いろんな境遇の働く世代がいて、時間は平等に過ぎる。忙しい師走が人並みに忙しい人は、体は疲れるが幸せなのかもしれない。人によっては条件が厳しく、風前の灯火の人もいるかもしれないが、まずは労働できるという喜びを感じて生活する。そんな自分を見つめ直す時なのかもしれない。

 

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