かたつむり岩間湿るを待ち侘びて
「方円」2015年8月号清象集掲載。
この年の6月に提出した句のタイトルは「名水」としており、水に関する俳句を中心に投句した。この句もその一つ。記録によればこの年6月の西日本は降水量が多め、日照量が少なめだったようだが、それでも梅雨の中休み、五月晴れというものは訪れる。その間、葉の裏や岩陰にくっついて殻だけになっているカタツムリを見かける事がある。梅雨らしい天気になってくると、彼らはゆっくりとしたペースで、しかしこの時を待っていたかのように喜び勇んで動き出す。それぞれの季節に生きる生命の気持ちを代読した句。
今年ほど、事が起きた時の人間の無力さを痛感した年は恐らくないだろう。それは病気であっても気候であっても同じ。今年は梅雨入りしてから晴れの日が続き、雨の時は集中豪雨という、梅雨時としては異常な6月だった。昔と比べて、少しずつ天候がおかしくなっているような気がする。それは人類の英知によって生み出された快適な世の中に対する反動なのかもしれない。こうなったからには人類の英知で天をも征服するまでだと考えている人もいるようだが、あまり何でも人の思い通りにならないと思った方がいい。
↓コチラも併せてご覧ください♪↓
