麦秋や部活帰りの白ブラウス

 

「方円」2019年8月号円象集掲載。

「麦秋」は夏の季語。ちょうど今の時期に黄金色に実る事から「麦の秋」呼ばれている。琵琶湖周辺には麦畑が多く、この時期一面黄金色の風景をよく見かける。好きな光景で、何度も見に行く。生活の中に麦畑があるため、そこに住む人の日常生活がそこにある。麦畑の横を自転車で通る制服姿の女子学生。日が暮れかかっているので、学校帰りか部活帰りか。「人が横を通る」という日常生活のほんの切れ端が、麦畑の黄金色にマッチしている。そんな情景を絵のように切り取った句。

そろそろ外出自粛も緩和され、学校もようやく始まり、あらゆるものが前へと進み始めた。3月、4月ごろはどこを見渡しても誰もいない、殺伐とした光景が広がっていた。外出したら怒られるような、異様な光景だった。今、麦畑の横を通る学生の姿が、例年以上に絵になると感じるのは、日常生活が何の憂いもなく送ることができるありがたみを、じっくり噛みしめているからに相違ない。まだ油断はできないが、あの時のギスギスした世の中から完全に開放される日が、少しずつ近づいている気がする。元の生活に完全に戻るため、批判しあうのではなく、みんなで何をすべきか考えるいい機会になった事だろう。

 

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