春嵐池面の景色崩しけり
「方円」2012年6月号清象集掲載。
静かで水のきれいな池に、周りの景色が映り込む。よくある風景だが、水を通すと実に美しく見える。そこへ強風が吹き、池が波立つ。すると映っていたきれいな景色が、昔のフィルムのノイズのようにザラザラになり、もっと波が高くなると消えてしまう。いかにきれいな景色でも、やはり水に映った鏡の世界だと思い知らされる。そんな感情と情景を詠んだ句。
「マトリックス」というハリウッド映画があった。一言でいえば、人間がVRの世界に入り込む話。今住んでいる世界は、本当に現実の世界なのか。どちらが現実で、どちらが虚構なのか。果たしてそれをだれが決めるのか。考えさせられる映画だった。今この世界で現実に起こっている悲劇。人はこれが夢であってほしいと思うだろう。しかし、夢ではないと悟ると、絶望感が襲い、精神のバランスを崩してしまう。今、過剰な批判の応酬が続いているのは、そういう理由からだろう。現実から目を反らさず、現状を正しく把握し、正しく対処する事を心掛けねばならない。
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