隣県を貫く道や雲雀東風

 

「方円」2019年5月号円象集掲載。

「東風」(こち)とはその名の通り春に吹く東の風。「東風」だけでも成立はするのだが、「梅東風」や「桜東風」など時期に応じて花や動物の名を冠して呼ぶことが多い。「雲雀東風」もそのひとつ。まったく守備範囲になかった言葉だが、当時の月例句会に席題として出され、困りながらもその場で詠んだのが今回取り上げる句。

月例句会の会場へ車で行く際にいつも通る道がある。その道はJR学研都市線の線路沿いをまっすぐ東西に走る道で、京都府と大阪府の境目にあり(なので「隣県」という表現は不正確)、会社員現役時代の父が毎日自転車で通った道でもある。道に従って人や車と一緒に走る東の風をイメージして、この句を苦し紛れに詠んだら、思いのほか好評だったので、ボツにせずに残した。

人が住むところには道ができる。そこを通る人や時間は常に移ろいゆくが、道はそこにあり続け、人々の歩みや歴史、時代を見続ける。まさに「一本筋の通った道」と言うべきか。実に頼もしい。私自身の人生はだいぶフラフラしているが、この道を見習って、一本筋を通して生きねばならない。

 

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