春の雪風に従ひまた空へ

 

「方円」2012年4月号清象集掲載。

2月、立春を過ぎると暦の上では春を迎える。しかし「春寒料峭」という言葉が示す通り、春とはいえ2月はまだまだ寒く、小雪がちらつく時もある。この時期の雪は軽くてちらちら舞う粉雪という印象が強い。地面に降り立って溶けようとする春の雪は、風が吹くと簡単に飛ばされ、なかなか地面に辿り着けない。こうした繰り返しが、いかにも春の雪らしいと、雪を眺めながら詠んだ句。

私たち人間も、春の粉雪の言うな存在なのかもしれない。少しの風で千地に乱れる。今の人間社会は、噂や情報という出所不明の風があちこちから吹く。たとえそれが悪質なデマであったとしても、その風に簡単に飛ばされ、地に足をつけないままフワフワとした状態。中には悪質なデマに「権威」という増幅装置をつけて、強くそこになびかせる場合もあり、もはやだれが本当のことを言っているのか、疑心暗鬼になってしまいそうだ。世の中が騒がしくなっている今こそ、春の粉雪ではなく、湿り気を帯びたボタン雪として、周囲の状況にアンテナを張れるようになりたいものだ。

 

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