冬草や災ひの地の生き残り

 

「方円」2005年3月号雑詠(現・明象集)掲載。今から15年前の句。

詠んだ場所も背景もすっかり忘れたが、「災ひの地」というキーワードから考えると阪神淡路大震災の事か。ちょうどこの年は震災から10年目の節目に当たる年だった。

「冬草」は「枯草」とは異なり、冬になってもなお青々としている草を指し、その色合いの趣を詠むのが主流。なので冬枯れの世界ではなく、生命力あふれる情景を連想させる。だからと言って、10年間草が生き続けているという訳ではないが、少なくともあの日以降変わらず命を繋ぎ続けて、10年後のこの日も生命力にあふれていた。それを「生き残り」と表現した句と言えよう。

「阪神震災忌」「阪神忌」という季語が一般的にすっかり定着してしまうほど、阪神淡路大震災から年月が経ってしまった。この日を普通に過ごせる事に感謝することも大事だが、それより将来の危機に備える事も忘れてはいけない。今週仕事場に、見たこともない食料が入荷してきた。どうやら非常用の高栄養の保存食らしい。世間では「震災の記憶は風化しつつある」という意見もあるが、こういうものが出回っているという事は、やはり頭の片隅に残っているという証拠だろう。人間はそう簡単に忘れないのだ。

 

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