一列に歩める雲や去年今年
「方円」2009年2月号雑詠(現・明象集)掲載。10年前の句。
「去年今年」(こぞことし)とは、去年と今年が一夜にして移り変わる様をあらわしたもの。高浜虚子が「去年今年貫く棒の如きもの」と詠んだ事で、新年の季語として定着した。一方私の句。詠んだのは恐らく年末の昼間。厳密に言えばこの季語には当てはまらない。それに加えて、「去年今年と言えば虚子のあの句」と言われており、それを超える句はそうそう出てくるものではない。それでもあえてこの季語を使ったのは、右から左へ、淡々と規律正しく動く雲を見て、止める事の出来ない時間の流れを感じたから。この時私は30代。何でも使ってチャレンジしてみようという意欲が見て取れる。
そろそろ今年一年を振り返る時期がやって来た。この年齢になると、一年が経つのが驚くほど速く感じられる。と同時に、一年ですら、何があって何を成し遂げたか、忘れることも多くなってきた。自分の想像を超えるほどのペースでこれが進んでいくと、改めて自分の年齢を感じる。そんな時、ふと空に流れる雲を見ると、やはり時の流れは淡々と、一定のリズムで流れているのがよくわかる。何も焦ることはない。時の流れは誰にも平等だ。悔いなく、濃密な時間を過ごしていきたい。
↓コチラも併せてご覧ください♪↓