流感の窓に僅かな日向かな
「方円」2010年2月号雑詠(現・明象集)掲載。
この年のこの時期、インフルエンザで4日間自室で缶詰め。2日目に熱は引いてはいたが、当然社会復帰は許されず。何もすることがなく、短い吹奏楽曲を試しに作ってみたら、4日間で1曲出来てしまった。それ程何もすることがなかった。
そんな中、ふと窓の外を見ると、少し日が照ってきた。自室の四角い窓に、晴れの風景が徐々に広がる。いつも代わり映えのしない外の風景が、少し変わったように感じた。そんな情景を敏感に感じて詠んだ句。
病を得て、生涯布団の中で数々の名句を生み出した人と言えば正岡子規。この狭い空間、大きく変わらない窓の外の風景から、どうやって光るものを生み出したのか、不思議でならなかった。しかし、いざ外出禁止令を出されて寝て過ごしてみると、少しわかった気がする。じっと外を凝視するようになるのだ。すると、今まで見過ごしていた、外のほんの僅かな変化に気が付くようになる。子規の句の醍醐味は、恐らくそういう部分だろう。あの境地に辿り着くのは至難の業だが、少なくとも物事を細部まで観察することを、普段から身に着けておきたいものだ。
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