水澄まし風来る向きに直りけり

 

「方円」2018年8月号円象集掲載。

ここで言う「水澄まし」とはアメンボの事。本来この漢字はいわゆる甲虫の「ミズスマシ」を指す事が多く、歳時記では「水すまし」とひらがなを使うので、本来なら水すまし風来る向きに直りけり」と書くべきところだったが、この時は恥ずかしながら知らなかった。いずれにせよ、アメンボの集団に風が吹き、一斉に風向きに体を向けた様が、呼びかけて一斉に応えるように見えて面白かったので、これを詠んだ。

虫の本能と比較すれば虫に失礼だが、人は昔から大きな事柄、影響のある人から発せられた言葉に、集団で迎合してしまう傾向がある。その事柄、言葉の意味合い、性質にもよるが、過去にそれが大変な不幸を招いた事もあるという事を、私たちは心の隅にとどめておかなければならない。もちろんそうでない事も多々あるが、最終的には自分の確固たる意志を信じることが重要だろう。このアメンボの集団の中にも、風が吹いても「それがどうした」という態度で動かない者もいたという事実が、せめてもの救いと思いたい。

 

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