止めどなく浪受く岩や四月尽

 

「方円」2017年7月号円象集掲載。場所は潮岬あたりか。季節を問わず、常に太平洋の荒波にさらされる岬の岩々がある。当然のことながら、逃げずに荒波に打たれるままそこにいる。

暦の上では、春は立夏まで。それを過ぎたら夏。つまり4月30日はあと1週間ほどで夏になるという日に当たる。「四月尽」とは去り行く春を惜しむ意味合いも含まれている。しかし自然はそんな感慨に更けることなく、日が昇れば淡々と明るくなり、日が沈めば淡々と暗くなり、海は淡々と波打ち、淡々と岬や岩に波をぶつける。たとえ季節が変わろうとも、何に感慨もなく時間が流れる。当然と言えば当然なのだが。

2019年4月30日、「平成」という一つの時代が終わる。人間というものは節目が好きで、元日になれば一年の抱負を述べ、年号が変われば令和を迎えるに当たっての抱負を述べる。気分新たにという気持ちにさせるのは、ごく普通のこと。しかし、自然に即した最も根本のところを言えば、「今日明日変わらず生きる」という事だろう。時間に関係なく、ただそこにある自然を眺めるうちに、時間という概念が取り除かれた瞬間を感じ、この季語が自然に出た。この営みを、人は止めることができない。

 

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