地虫出づ我が地一面塵芥
「方円」2016年5月号円象集掲載。
啓蟄になると、冬の間冬眠していた虫が穴から出てくる。そんな虫の動きに春の到来を感じて、「地虫穴を出づ」という季語が生まれた。
そんな虫たちが穴を出て最初に見た光景がゴミだらけだったらどうだろうと考えて詠んだ一句。虫は己が生き抜くため、本能的に穴を出て、食糧や生活の糧を探して動き回る。そこにゴミという人間が与えた試練が行く手を塞ぐ事が、小さな虫にとってどれ程の事なのか。
しかし、生物には適応力がある。周りがゴミだらけだろうが何だろうが、お構いなしに生き続ける。ただ、中にはそうでない種類もいる。簡単にゴミを捨てるのは勝手だが、生物にとってはやはり試練であり、その試練はやがて自分に返って来る。
イルカが歌う「いつか冷たい雨が」の歌詞に、「人間だけが偉いんだなんて事だけは思わないでください」という一節がある。個々のエゴ、地域単位、国単位のエゴも結構だが、「生かされて頂いている」という謙虚さを忘れないようにしたい。
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