新しき土地への一歩春立てり

 

「方円」2018年4月号円象集掲載。

週が明けると立春。いよいよ春がやってくる。この句は1年前の2月、当時新しく稼働したばかりの現在の勤務地に赴任が決まった時に詠んだ。知った顔が何名か同じ時期に移った事もあり、一人違う土地に乗り込むという訳ではなかったが、働く土地としてこの地に降り立った事はなく、そういう意味では「新しき土地」であった。

初めて降り立つ駅。初めて通る道。そして真新しい建物。立春からは少し経っていただろうか。まだ寒くはあったが、周囲はそれほど寒々しいという雰囲気ではなかった。その道すがら、自然にこの句が詠めた。何の迷いも推敲もなく、思ったまますっと浮かんだ句ではあるが、それでいてスマートで、「春立つ」という季語も活きた。なかなかこういう機会に恵まれない。恐らく希望に満ち溢れていたのだろう。

あれから1年。今は日常に流されてはいないかと自問自答のうちに、2019年の2月が始まった。

 

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