大寒や四方を睨む鬼瓦

 

「方円」2018年3月号円象集掲載。

2018年1月13日、関西句会前に訪れた南禅寺をモチーフにした句。

古刹など瓦葺の大きな建物には、たいてい四隅に立派な鬼瓦を据えている。南禅寺山門もそのひとつ。二層それぞれの四隅と破風、計6つの鬼瓦が、それこそ都の四方八方に目を光らせていた。鬼瓦はもともとシリア・パルミラの入口に魔除けとしてメドゥーサを設置した事が発祥とされ、日本伝来時にそれが鬼に変わったもので、「恐ろしいものに護られる」という意味合いを持つ。南禅寺の鬼瓦も、前は都、後ろは山、そして琵琶湖に通じる疎水と、それぞれの方向の邪鬼を払うべく、表情を変えることなく睨み続けている。訪れた日はまだ大寒ではなかったが寒の内。底冷えのする京都の冬にあって、どことなく表情が引き締まったようにも見えた。「この地を守り続ける」という毅然とした態度にも見え、己の立ち居振る舞いも見直させている感じがして詠んだ一句。

 

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