先日、ラジオで、手作りするアクチマキ(灰汁粽)〔チマキの一種〕なるものの紹介があり、これを聞いた視聴者のメールが読まれました。端午の節句らしい話題でしたが、私は、若い男性アナウンサーの読み方が気になりました。
「我が家では、出来上がったアクチマキを、まず じんぜん に供えます…」
「じんぜん」とは「神前」のことと思われます。そうであるなら、「じんぜん」ではなく「しんぜん」でしょう。「神前結婚」などの、あの「しんぜん」です。メールの表記が、仮名で「ジンゼン」とか「じんぜん」となっていたというよりは、ちゃんと「神前」と書いてあったものを、アナウンサーが「じんぜん」と読んだ、と私は推測しています。
『広辞苑第七版』
しんぜん【神前】
神霊の前。「神前に供える」
⇒ しんぜんけっこん【神前結婚】
〔用例中の記号( ― )は、文字に変えさせていただきました。=引用者〕
「神」の読み方の基本は、訓読みの「かみ」「かん」「こう」と、音読みの「しん」(漢音)、「じん」(呉音)です。
「神」が語頭につく熟語としては、例えば以下のようなものがあります。
〔訓〕かみ
神隠し、神棚、神頼み、神業、〔最近の用語では、神対応〕、…
〔訓〕かん
神無月、神嘗、神戸(かんべ)、…
〔訓〕こう
神戸(こうべ)、…
〔漢音〕しん
神苑、神格、神官、神器(しんき)、神経、神事、神髄、神前、神童、神道、神秘、神父、神仏、神木、神妙、神話、…
〔呉音〕じん
神器(じんぎ)、神宮、神社、神通力、神武、…
ところで、そもそもなぜ誤読するのでしょうか。端的に言えば、読み方を間違って覚えているからでしょう。あるいは、正しい読み方を知っているのに、うっかり噛んでしまったとか、読み方を知らず、あてずっぽうに読むとか、といった場合もあるかもしれません。
推測のついでに、もう一つ推測してみました。冒頭のアナウンサーの場合は、あるいは私の聞き違いだったかもしれない、ということです。何故そういうことまで考えてみるのかと言えば、アナウンサーが「神前」を「じんぜん」と誤読するということは、どうしても信じられないからです!!!