四則(しそく)の加減乗除(かげんじょうじょ)は、言うまでもなく、加法、減法、乗法、除法のことです。言い換えれば、加算、減算、乗算、除算、要するに足し算、引き算、掛け算、割り算のことです。
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で、それがどうした、と言われそうですが、…
たまたま辞書を見ていて気になったのは、これらの用語ーー足し算、引き算、掛け算、割り算、加算、減算、乗算、除算ーーの品詞のことです。つまり、ほとんどが〔名詞〕なのですが、「減算(げんさん)」〔下記に色文字で引用〕のみが〔名詞〕であるとともに〔動詞〕でもある、ということです。
その違いは何なのか知りたいところですが、とりあえずは、「違う」ということだけを書き留めておきたいと思った次第です。
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『明鏡国語辞典』第二版により話を進めています。取り上げる辞典によって展開が異なるようです〔語義説明のうち「別の言い方」のみを引用させていただきました〕。
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たしざん【足し算】
〔名〕
加え算。寄せ算。加法。加算。
ひきざん【引き算】
〔名〕
減法。
かけざん【掛け算】
〔名〕
乗法。
わりざん【割り算】
〔名〕
除法。
かさん【加算】
〔名〕
1 〔他サ変〕
ある数量を加えて計算すること。
「元金に利子を加算する」
2 足し算。加え算。
※ 2 の「足し算。加え算。」の意味での【加算】は、
〔名詞〕ということのようです。
げんさん【減算】
〔名・自サ変〕
引き算。減法。
じょうざん【乗算】
〔名〕
掛け算。乗法。じょうさん。
じょさん【除算】
〔名〕
割り算。除法。じょざん。
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ところで、「算」の読み方ですが、…
「足し算」「引き算」「掛け算」「割り算」は、すべて濁音の「ざん」です。
「加算」「減算」「乗算」「除算」のうち、後二者の「乗算」「除算」には、清音「さん」と濁音「ざん」の二通りの読みがあるようです。
「乗算」は、「じょうざん」と「じょうさん」で、基本は「じょうざん」、「除算」は、「じょさん」「じょざん」で、基本は「じょさん」です。
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基本の読みにおいて、「乗算」のみが連濁の「じょうざん」となっているところも、面白いと言えば面白いところと言えるのではないでしょうか。