先日、「好感する」(2014/5/20)、「栄養する」(2014/5/27)という言い方について書きました。名詞を動詞形で用いるという例のことですが、以下の二例も、そのような部類でしょう。
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6月23日(月)、NHK『ラジオあさいちばん』の“列島あさいち情報”で、“白みりん”が誕生してから200年という話をしていました。白みりんの発祥は千葉県の流山(ながれやま。現在の流山市)であるとのこと。現地リポーターが「白みりんのおかげで流山はかっせいしました」というようなことを、電話口で語っていました。「かっせいしました」は、「活性化(かっせいか)しました」のことではないかと思われます。多分。…
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名詞の「活性」とは別に、下記のように「活性化」という見出し語があります。
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かっせいか【活性化】
〔名・自他サ変〕
1 (略)
2 組織などの活動が活発になること。また、活発にすること。
(『明鏡国語辞典』第二版)
そして、「地域社会が活性化する」「地域社会を活性化する」という、自動詞、他動詞の用例を掲げています(用例中の、見出し語に相当する 「 ― 」 の部分を文字にさせていただきました。以下同。― 引用者)。
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もう一例。
医学雑誌などで、関節等に関する記述において「可動する」とい表現を、たまに目にします。
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例えば、「股関節が十分に可動する」「肩甲骨を可動する主動作筋」といった具合です。
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しかし、「可動(かどう)」は、以下の通り名詞ですから、「股関節の可動域(かどういき)を拡大する」とか、「肩甲骨の可動性(かどうせい)の改善」というような用法が自然ではないでしょうか。
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かどう【可動】
〔名〕
動かすことができること。また、動く仕掛けになっていること。
「可動式の書架」 「可動橋(きょう) ・ 可動堰(ぜき)」
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掲出の動詞的用例は、単純に、以下のような表現でよいような気がするのですが。…
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「股関節が十分に可動する」 ⇒ 「股関節が十分に動く」
「肩甲骨を可動する主動作筋」 ⇒ 「肩甲骨を動かす主動作筋」 または
⇒ 「肩甲骨の主動作筋」