NHK 「ラジオ深夜便」 による、4月21日の誕生日の花は “サクラソウ (サクラソウ科)”、花ことばは “少年時代の希望 青春” でした。誕生日の花にちなんだ短歌と “作者の言葉” の紹介があり、担当の女性アンカーが最後に言いました。
「…きょうのいっくでした」
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俳句や川柳の数え方は、一句 (いっく)、二句 (にく)、三句 (さんく) …ですが、和歌 (短歌) は、一首 (いっしゅ)、二首 (にしゅ)、三首 (さんしゅ) …です。
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「ラジオ深夜便」 ではこの4月から、毎朝、“誕生日の花と花ことば” のあとに、鳥海昭子 (とりのうみ ・ あきこ) という歌人の短歌が紹介されているようです。これまでは “きょうの一句” として、さまざまな俳人の句を取り上げていたように思います。だから、短歌であるにもかかわらず、アンカーは習性で 「きょうの一句」 と言ってしまったのでしょうか (ちなみに、翌日から3日間、それぞれのアンカーの語りの中に、“一句”、“一首” という言葉は出てきませんでした)。…
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『明鏡国語辞典』
いっく 【一句】
〔名〕
1 一つのことば。ひとこと。
「 ― 字 ― 」
2 一つの俳句 ・ 川柳。
「 ― を詠む」
3 詩 ・ 和歌などの一区切り。
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ここで、大分前に聞いた、例のA君の話です。
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昔、アルバイト先の出版社の編集者 (男性) が、飲んでいる席で、ある歌人の歌集について 「一句、一句、こころに沁み透りました」 と絶賛したとのことです。もちろん編集者は、短歌を分解して、一区切り、一区切りについて感想を述べていたわけではないのです。編集者の言葉を受けて、おもむろに、当の歌人 (男性) が言ったそうです。「ありがとう。ただ、ひとこと…、歌は俳句ではないので、一首ですね」
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俳句や川柳の数え方は、一句、二句、三句…、和歌 (短歌) は、一首、二首、三首…というのは常識の範疇に属するものだと私は思っているのですが、そうでもないのでしょうか。…