[前原さん。母親が呼んでおります。」
弟は兄にいじめられて育てられるもの。
今ではその事実に感謝こそしているが、
僕は小4くらいから「あー。あいつは家族じゃない。少なくとも俺はあんな屑とは血がつながっていない」
と思い込むことにし、そう考えることでなんとかつらい幼少期を乗り越え
以降全てのタイミングで兄のことを「前原さん」と呼んでいた
前原が前原に前原さんと呼んでいるんだ。
何も間違いではない。
そしてこれは家族全員に重大さをアピールするためでもあった。
息子が息子のことを苗字で呼んでいるなんてまず異常だ
「異常である」と認識させるための手段でもあったのだ
しかし事件は起きた
端的に説明すると
俺が台所でお湯を入れて
定石通り3分間放置していたシーフードヌードルを
ちょっとトイレに行ってた隙に前原さんがズルズルと食べていたのだ
ふざけるな。俺はカップヌードルの3分間も安心して放置できないのか。
この時俺は悟った。
あー。俺の納得の仕方は間違えていた。
こんな奴と同じ星に住んでいたら幸せなんて永遠に訪れない
まだ少年法が適用される年齢のうちに手を打たねば。。。
正直に言ってしまうが、あの時に俺のしたことはただの怒りだった
冷静になっていれば俺はあんな残酷なことはしない
逆にあの時俺がやった行為は24になろうという今でさえトラウマになっている
そう、
やってしまったのだ
あいつの部屋の扇風機の前できなこを食べた。