○特徴(ネタバレなし)
1.背景
①世界初の推理小説を書いたと言うエドガー・アラン・ポーの短編集。
②本書には、その世界初の推理小説「モルグ街の殺人」が収録されている。
③その他にも、趣向を凝らした6編が同時に収録されている。
2.ストーリー
①モルグ街の殺人
フランスのとある郊外、モルグ街に住むレスパネー夫人とその娘のカミーユ・レスパネー嬢が何者かに殺された。その殺され方は異常であり、また猟奇的であった。レスパネー夫人は家の外で首が胴体と切り離されており、レスパネー嬢は暖炉に押し込まれており、大の男が数人がかりでようやく抜き取る事ができたほどだ。内部は密室となっており、誰かが入った形跡はない物の、外で騒ぎを聞きつけた群衆は2人の男の声を聞いたとのこと。しかしこの証言がまた不思議で、1人はフランス人であることが分かっているのだが、もう1人はその場にいた様々な国の証人が誰も自分の国でない言葉を話したと言っており、どの国の言葉かはっきりしない。警察も手をこまねいているこの事件を、C・オーギュスト・デュパンが解明する。
②盗まれた手紙
C・オーギュスト・デュパンの元に、警視総監G氏がやってきた。G氏の話によると、ある「やんごとなき方面」の人物の家から重大な秘密が書かれた手紙が盗まれた。盗んだのはD大臣である事は目星がついている。しかしD大臣にばれないように彼の家を探しても全くその盗まれた手紙が出てこない。この手紙のありかをG氏はデュパンに聞きに来た。
③群衆の人
主人公は何カ月も病気にかかっていたが、回復する事ができた。元気になると、ロンドンのホテル「D」から外をうかがい、歩いている人を観察する事が楽しかった。街で歩いている人を観察しているうちに、主人公は職業ごとの特徴が分かるようになってきた。すると1人、明らかに他の人とは異なる人が歩いているのを見かけたので、後をついて行き、彼がどの様な人物か観察をすることにした。
④おまえが犯人だ
ラトルボロに住むバルナバス・シャトルワージー氏は、この地方では財力・人物ともにトップクラスに属する市民の一人である。そのシャトルワージー氏がある日失踪する事件があった。日帰りで往復する予定だったものが、2時間後に馬だけが戻ってきた。馬には血が付いており、事件に巻き込まれたと思われる為ラトルボロの住民は皆で捜索活動を行った。その中でも特に精力的に行ったのが、6か月ほど前に引っ越してきた「オールド・チャーリー・グッドフェロウ」である。彼は心優しく、シャトルワージー氏もグッドフェロウの事を気に入っていた。捜索をしているうちに、甥のペニフェザーが犯人である事を示唆する証拠がいくつも出て来る。
⑤ホップフロッグ
冗談好きの国王は、ホップフロッグという道化を住まわせていた。ホップフロッグは小人で、両足が歪んでおり上手くあることができず、跳ねるとものたりくるとも付かない中間的な歩き方をするため国王に気に入られていた。ある日ホップフロッグは国王と7人の大臣に呼ばれ、宴会で自分達が行う余興へのアイデアを尋ねられる。
⑥黄金虫
主人公はウィリアム・ルグランという人物と仲良くしていた。彼は人里離れたサリバン島に黒人の老使用人ジュピターと暮らしていた。ある日ルグランを訪ねると、「黄金虫」なるまるで本物の黄金のような見た目と重さを持つ虫を見つけたという話を聞いた。その場にはなかった事から、主人公はルグランに絵を描いてもらったところ、これが髑髏の様に見えた。ルグランの絵が上手ではないのではないかという指摘をしたせいか、絵を返した後にルグランは黙りこくって不機嫌になってしまったようだった。主人公はこの日ルグランの家に宿泊するのをやめて帰る事にした。
後日ジュピターがルグランの様子を見てほしいと主人公の元を訪ねて来た。どうやら黄金虫を見てからと言うもの、ルグランの様子がおかしくなったと言う。主人公はルグランを正気に戻すため、サリバン島へ向かう事にした。
3.良い点
①世界初の推理小説とはいうものの、しっかりと描かれている。
4.悪い点
①時代背景が異なる事から、理解しづらい部分も多い。
②物語とは関係ない話が少し冗長と感じる。
○評価
1.本を選んだ理由
2.評価
項目 | 説明 | 点数 |
目的との合致度 | 目的と合致しているほど高い | B |
わかりやすさ | わかりやすいほど高い | C |
内容の質 | 質が高いほど高い | B |
内容の量 | 量が多いほど高い | B |
読み応え | 読み応えがあるほど高い | B |
総合 |
| B |
※評価はS、A、B、C、Dの5段階。B以上は読む価値あり。
話のネタとして、世界初の推理小説は見ても良いと思う。また時代背景が異なっており、独特の表現や発想は面白い。