大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる 井掘利宏 詳細① | 怠け者のつぶやき

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今まで勉強してこなかった怠け者が
今更だけど本でも読もうか、ってことで色々と
本を読んだりニュースを気にしたりしてつぶやいてます。

○まとめ

1.ミクロ経済とマクロ経済

 経済学の基本は合理的に行動をする事である。ミクロ経済学とは個々の経済主体の主体的な最適化行動を前提として、ある個別の市場でどんな介在活動が行われているかを分析したり、産業の間の関連を考えるもの。マクロ経済は物価、インフレーションや失業、国民総生産の決定、経済成長など国民経済全体(マクロ)の経済の動きに関心を寄せる。

ポイント

①ミクロ経済学

②マクロ経済学

 

2.ミクロ経済の基本

 経済主体は、限界メリット>限界コスト(≒価値>価格)と感じた際にある財を購入する。この時需要と価格の関係はマイナスの関数(需要曲線)に、供給と価格との関係はプラスの関数(供給曲線)になり、ある点で均衡となる。需要曲線の傾きは財によって異なるが、これを価格の弾性力という。

ポイント

①限界コスト

②限界メリット

③需要曲線

④供給曲線

⑤価格の弾性力

 

3.消費者はどう行動するのか。

 家計の消費は限界デメリット(基本的には価格)を限界効用が上回っていれば需要がある。同じ財をいくつも購入していると限界効用は逓減する(段々減る)ため、限界デメリット>限界効用となった時点で購入をやめる。所得が増える(所得効用)と、正常財は需要が増えるが、劣等財は代替する別のものへ需要が変わってしまう事から需要が減ってしまう。需要の変化は様々で、ある財の需要により他の財に影響を及ぼしたり(代替効果)、他財の価格の変化により需要の変化が起こる財(代替財)もある。劣等財の場合は価格の低下で需要が減り(ギッフェン財)、セット販売をしている財は互いに影響をして(クロスの代替効果)、片方の価格が上がるともう片方の需要にも影響が出る(補完財)。

ポイント

①限界効用

②限界効用逓減

③限界デメリット

④正常財(上級財)

⑤劣等財(下級財)

⑥所得効果

⑦代替効果

⑧ギッフェン財

⑨代替財

⑩クロスの代替効果

⑪補完財

 

4.企業はどのように行動するのか             

 企業は長期的に利益を生み出す為に行動をしている。利益を生み出すためには、財を生産する必要がある。ここで生産関数を用いる。生産関数は、生産数が増えるほど効用が減っていく(限界生産逓減の法則)。次に費用を計算する場合、費用曲線を用いる。限界生産は逓減して行くため、生産を増やし過ぎると費用>生産となる。費用=生産となる点が、限界費用である。財の価格は一定のため、売上は生産量×価格の一次関数となる。つまり利潤を最大化させる為には売上-費用が最大の点=限界費用となる生産量が最適である。

ポイント

①生産関数

②限界生産逓減の法則

③費用曲線

④限界費用

⑤売上額

 

5.市場の機能と価格メカニズム

 市場とは、需要者と供給者が仲立ちして売買がおこなわれる場所である。市場が①財の同質性、②情報の完全性、③多数の経済主体の存在、④参入の自由を満たしている時(完全競争)、価格は自分で決定する事ができない。価格は、需要曲線と供給曲線の交点にて均衡となり決定される(プライス・テーカー)。この市場均衡点は、需要者の利益(生産者余剰)と供給者の利益(消費者余剰)の合計=社会全体の利益(社会的余剰)が最大になる点でもある。また競争が均衡である場合、需要者の効用が最も高くなる様財は配分される(パレート最適)。

ポイント

①完全競争

②価格調整

③市場均衡点

④プライス・テーカー

⑤競り人(オークショナー)

⑥生産者余剰

⑦消費者余剰

⑧社会的余剰

⑨パレート最適

 

6.所得分配の決まり方

 企業は生産を行うために労働者を雇う。労働者を雇う為の費用は、労働による生産量と賃金率の需要によって決められる。これが均衡する点が労働の限界生産価値である。また生産する費用には土地等供給が限定されているもの(レント)も含まれる。これは土地の利子率を上回る生産効率がある場合、投入する価値があるとみなされる。ここで得られた所得は、個人によって異なる。この所得の分配を分析するためにはローレンツ曲線を見ると良い。ここから割り出されたジニ係数は、所得格差の指標となっており、税の再分配や社会保障によって格差を小さくしている。

 

ポイント

①賃金率

②労働の限界生産価値

③資本市場の均衡

④レント

⑤準レント

⑥ローレンツ曲線

⑦ジニ係数

 

7.独占と規制

 市場において、完全競争が成り立っていない場合も多い。極端な場合は独占企業ができてしまう。独占企業は価格を自由に設定する事ができ(プライスメーカー)、供給量の決定も自由に行う事ができる。独占が起こりやすいかどうかは、価格弾性の大きさと代替可能かどうかが重要となっている。価格弾性が小さく、代替可能な財がないものほど独占しやすい。これは独占度によって数値化を行っている。その他にも独占は、規制やスケールメリットが大きい場合などに起こりやすい。

ポイント

①プライスメーカー

②独占度

 

8.寡占市場

 独占市場と似ているが、寡占市場も行動が異なる。同質財がある場合には価格競争が激しくなり複占市場となりやすいが、差別財では価格競争が生じにくくある程度決定できる寡占市場になりやすい。寡占市場では互いの行動を予測しながら行動を決定(ゲーム理論)し、双方にとって最適な行動で均衡(ナッシュ均衡)となる。この時寡占企業では談合(カルテル)が起こりやすくなるが、この不当な供給と価格は法律で厳しく禁止されている。カルテルにより複数の企業で不当に価格を高くした場合、どこかの企業が抜け駆けをして価格を下げれば売上は間違いなく上がるが、これがなされないのはなぜか。ここで抜け駆けをしてしまうと、他の企業も疑心暗鬼になり抜け駆けが最適な解答である事になる(囚人のディレンマ)。1回で終わるのであれば抜け駆けが最も利益が高くなるのだが、繰り返し行う場合は以後の利益の大幅な減少を考えるとこれは協力がナッシュ均衡となる。

 

ポイント

①同質財

②差別財

③ゲーム理論

④ペイオフ

⑤ナッシュ均衡

⑥囚人のディレンマ

⑦カルテル

⑧繰り返しゲームとフォークの定理

 

9.外部性と市場の失敗

 市場は、市場を通さずに直接別の経済主体の環境にプラス(外部経済)やマイナスの影響(外部不経済)を及ぼす(外部性)。外部不経済を与える市場の失敗は度々見られる。わかりやすい例では、環境問題である。これを気付かずに生産を行ってしまうと、外部不経済分損をしてしまう供給過剰な状態に陥ってしまう。外部不経済を生じさせる場合は、課税等によりコストに組み込む方法(ピグー課税)、民間の自主性に任せる方法(コースの定理)で対策がされる。一方で、非競合性と排除不可能性を持った財(公共財)は、ただ乗り(フリーライダー)を禁止する事が難しく、最適供給が難しい。

ポイント

①外部経済

②ピグー課税

③コースの定理

④公共財

⑤非競合性

⑥排除不可能性

⑦サムエルソンの公式

 

10.不完全情報の世界

 完全競争が行われない市場での失敗で多いものは、情報の非対称性による事も多い。情報の非対称性は、相手を監視する事が出来ない事や、相手がどの様なタイプかわからない為に起こる。相手を監視する事が出来ないと、例えば保険がおりるのだから火事が起きても構わない、政府が補てんしてくれるから赤字が出ても構わないと言うようなモラル・ハザードが起きやすい。相手がどの様なタイプかわからないと、例えば保険に加入する人は、企業からはどのような病気を持っているか分からないため、保険料を高くせざるを得ないといった逆選択に陥りやすい。逆選択は、供給の強制、制度の整備、最低価格の決定、シグナリングやスクリーニングで対処も可能である。

ポイント

①情報の非対称

②モラル・ハザード

③逆選択

④シグナリング

⑤スクリーニング