証言のまとめ
人物 |
被害者との関係 |
アリバイ |
犯行時刻のアリバイを証明する人物 |
動機 |
ピエール・ ミシェル |
なし |
①1時頃は同僚と話している。 |
マッキーン |
なし |
マッキーン |
被害者の秘書 |
①2時頃までアーバスノット大佐と話をしている。 |
アーバスノット |
あり |
マスターマン |
被害者の召使 |
①最後にラチェットを見たのは9時頃 |
アレクサンダー |
あり |
ハッバード夫人 |
隣室 |
①グレタ・オルソンが9時過ぎに尋ねて来る |
ピエール・ミシェル |
なし |
グレタ・オルソン |
なし |
①9時頃にアスピリンをハッバード夫人にもらう |
メアリー・デベナム |
なし |
ドラゴミロフ侯爵夫人 |
なし |
①夕食後は11時まで読書 |
ヒルドガード・シュミット |
なし |
アンドレニイ伯爵夫妻 |
なし |
①11時頃まで妻の部屋でトランプをしている。 |
夫妻自身 ピエール・ミシェル |
なし |
アーバスノット大佐 |
アームストロングは友人 |
①1時45分頃までマッキーンと話をし、ベッドメイクをさせて眠る |
マッキーン |
なし |
ハードマン |
依頼主 |
①部屋から外を見張っていた。 |
アーバスノット大佐 |
なし |
アントニオ・ファスカレリ |
なし |
①10時頃ベッドメイクをしてから、読書をしたりして眠った。 |
マスターマン |
なし |
メアリー・デベナム |
なし |
①10時頃にグレタ・オルソンは出て行ったが5分ほどで帰る。それ以降は外に出ていない。 |
グレタ・オルソン |
なし |
ヒルドガード・シュミット |
なし |
①主人に呼ばれるまでは眠っていた。車掌が呼びに来る。 |
ドラゴミロフ侯爵夫人 |
なし |
全体の証言は整合性が取れており、お互いに思いもよらなかった人によってその時間のアリバイが証明されている。ここで怪しいのは、①赤い竜の刺繍の入った化粧着を着た女性、②女の様な声をした車掌姿をした男、の2人である。誰かが変装をした可能性を考え、全員の荷物を検査すると、ヒルドガード・シュミットの荷物の中に車掌の服が入っていた。ヒルドガード・シュミットがドラゴミロフ侯爵夫人の部屋に行っている間に、荷物を詰められたと考える事が出来た。続いて、ハッバード夫人の荷物の中から血の付いたナイフが発見される。
ここから、ポワロ、コンスタンチン、ブックの3人は証言から事件の発生をこのようにまとめた。マスターマンが睡眠薬を渡したのでラチェットはこれを飲み眠っていた。そこに車掌の姿をした犯人が正面から入ってきて殺害。部屋に潜んで逃げるタイミングをうかがっていると、間違えてピエール・ミシェルが部屋に来る。とっさにラチェットが使えないフランス語で答えてしまった犯人はその後、ヴィングコヴツィー駅に着いたのを見計らいドアに鍵をかけて窓を開け、内扉から隣のハッバード夫人の部屋に移る。そしてハッバード夫人の荷物にナイフを詰め込み、車掌がいなくなった隙に外に逃げ出す。車掌の服装はちょうどドラゴミロフ侯爵夫人の所へ行っていたヒルドガード・シュミットの荷物の中に詰め、そのまま出て行った、という流れである。赤い化粧着の女性とHのイニシャルのハンカチ、パイプクリーナーなど疑問は残る。