外国語を覚えるのに大人が不利、は間違っている? | 怠け者のつぶやき

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今まで勉強してこなかった怠け者が
今更だけど本でも読もうか、ってことで色々と
本を読んだりニュースを気にしたりしてつぶやいてます。

 子供の時に外国語(第二言語)を覚えた方が早く覚える、という事は多くの人が信じて
いる事だが、実はこれはまだ証明されていないらしい。
 子供の時には全ての音(言葉で言う発音)を聞きわけることができ、それが大人になる
につれ聞こえない音が出て来る事は分かっているそうである。これは言語を活用する上で、
不要な音の聞き分けまでしてしまうと、主に使用している言語を正確に聞き取れなくなる
可能性があるからであるとの事である。生きて行く上では使わない音は聞こえない方が
便利だと言う事である。
 子供は特に勉強をしなくても言葉を話せるようになるが、このメカニズムは確立されて
いないそうだ。また我々の多くが信じている、「子供は第二言語の習得をしやすい」という
事象は、これが事実なのかも分かっていない。
 「子供は第二言語を習得しやすい」事を証明するために、あるテストが行われた。①対象は
移民をしてきた人で、母語を移民した国の言葉としない人、②テストは、移民してきた年齢
ごとに分けて文法テストの結果をプロットしたというものである。
 これによると、移民してきた年齢が上がるほど母語とする人達に対して文法テストの結果が
悪くなったそうだ。しかしここで注目したいところは、少しずつ得点が下がっている結果が出た
事である。
 「子供は第二言語の習得をしやすい」という事が事実であるならば、それはどこかの時期を
境にその能力がなくなるのではないか、という考えの下に行われたこの試験は、予想に
反し学習能力が極端に低下する時期がない事を示唆する結果となった。この考えの元に
なるのは、一部の鳥で見られる刷り込みと似たような現象があるのではないか、という
事である。鳥の刷り込みは、産まれてから1週間程度の間に見た動く物を自分の親と認識
する習性であるが、1週間を過ぎると急になくなってしまう。このように、ある能力が一定の
時期を過ぎるとなくなってしまう事を、「臨界期説」という。第二言語習得にはこのような
臨界期の特徴である、急激な能力の低下が見られなかったのだ。そこで第二言語を使用
する時間を調べたところ、年齢が高くなってくるにつれ、母語に対して第二言語を使用する
時間が短くなっている結果が得られた。
 これらの結果から、第二言語の習得については、小さい時に始めた人ほど、1日における
第二言語を使用する事が多くなる傾向にあるため、結果として習得が早い、という考察が
された。また、大人の方が第二言語の習得が遅い理由に対して、①大人は子供と比べて
語彙数が圧倒的に多い事、②使用する構文(文法)が多く、複雑である事、といった点に
おいて大人の方が習得しようとしているレベルが高い事が挙げられるとしていた。
 子供の学習能力が高い事は事実であるが、第二言語に関して特別な能力のおかげで
習得が早いかどうか証明がされていないと言う事は、我々の多くの認識とズレがあり、
面白い事だと思う。第二言語をマスターするためには、2000時間以上という膨大な時間を
勉強に費やさなければならないと言う事も言われているそうであり、大変な事には変わりが
ない。しかしこの結果は、今から勉強をしても遅くないという大きな期待になると考える。